呼吸を整える、香りの「一発録り」。Switching Mistがブレンド蒸留にこだわる理由
忙しい日々のなかで、ふと立ち止まって深く息を吸い込む。その瞬間のスイッチを切り替えるために生まれた「Switching Mist」。
この一本には、単に「良い香りを混ぜた」だけではない、目に見えないこだわりが詰まっています。今回は、私たちの香りの心臓部である「蒸留」、そしてあえて手間のかかる「ブレンド蒸留」を採用している理由についてお話しします。
そもそも「水蒸気蒸留」とは?
植物の持つエッセンスを抽出する方法はいくつかありますが、私たちが採用しているのは「水蒸気蒸留法」という非常にシンプルな仕組みです。
- 蒸気を通す: 釜に入れた植物に熱い水蒸気を通します。
- 成分をまとう: 水蒸気が植物の中にある香り成分を弾けさせ、その成分を抱え込みながら上昇します。
- 冷やす: 香りをたっぷり含んだ蒸気を冷却管で冷やすと、再び液体に戻ります。
こうして抽出された液体は、植物のエネルギーをそのまま写し取ったような、ピュアで優しい芳香蒸留水となります。
なぜ、先に混ぜてから蒸留するのか?
一般的に、「ラベンダーの蒸留水」「ローズマリーの蒸留水」といった単一の素材を、後から計算して混ぜ合わせることで作られます。これは品質を安定させやすく、効率的な方法です。
しかし、Ouf.の「Switching Mist」は違います。蒸留する前の段階で、厳選した数種類のハーブや樹脂を独自の比率でブレンドし、一つの釜に入れて同時に蒸留を行っています。
あえてこの「ブレンド蒸留」を選ぶのには、明確な理由があります。
1. 香りの「角」が取れ、ひとつの深呼吸になる
個別に蒸留したものを後から混ぜると、それぞれの香りが個々に主張し合うことがあります。 一方で、最初から一緒に蒸留すると、蒸気の中で成分同士が複雑に絡み合い、馴染み合います。料理に例えるなら、別々に茹でた具材を皿に盛るのではなく、一つの鍋でじっくり煮込んで「出汁(旨味)」を一つにするような感覚です。 これにより、特定のハーブが立ちすぎることのない、まろやかで奥行きのある「一つの塊としての香り」が生まれます。
2. 樹脂とハーブの相乗効果
Switching Mistには、ハーブだけでなく、フランキンセンスなどの「樹脂」も配合しています。 熱い蒸気が釜の中でハーブと樹脂を同時に通り抜ける際、単体では引き出せなかった繊細な成分が溶け合います。樹脂の重厚さとハーブの軽やかさが蒸留のプロセスで一体化することで、空気に吹きかけた瞬間、すっと心に馴染むニュートラルな質感が実現するのです。
3. 自然のままの、不純物のない調和
後から何かを足すのではなく、蒸留という一つのプロセスを経て完成する香りは、非常に純度が高く、クリアです。 「深呼吸をしたくなる香り」を目指す私たちにとって、この混じりけのない調和こそが、最も届けたい価値だと考えています。
まるで、最初からその香りだったかのように
シュッとひと吹きしたとき、それが何の植物であるかを分析する前に、ただ「心地いい」と感じてほしい。 ブレンド蒸留によって生まれたSwitching Mistの香りは、個々の素材の境界線が溶け合い、最初から一つの生命体であったかのような自然な調和を保っています。
理屈ではなく、本能が求める深い呼吸のために。 今日も一つひとつの釜に、想いを込めたブレンドを仕込んでいます。
